浅間大社本殿と静岡浅間神社拝殿の形態的特徴について:（駿河国浅間社社殿の研究　その1）

摘要

静岡県富士宮市に鎮座する富士山本宮浅間大社(以降、浅間大社)は全国1300社余の浅間神社の総本宮である。また、静岡県静岡市に鎮座する静岡浅間神社は駿河国の一之宮として知られている。この二つの浅間神社は社殿が二階建て(いわゆる「浅間造」）である特徴を有しており、古くから特異な神社建築として知られている。神社建築史の中でも注目されていた両神社であるが、一方で既往研究が非常に少ない。また、この既往研究は神社所蔵の神社関係の古文書を一次史料とし、その内容の整理と読解が中心となっている。しかし、一次史料となっている古文書が信仰に関する内容が多いため、二階建ての形態に対する考察が概念部分に留まっていることが指摘出来る。