鋼板コンクリート耐震壁のしゃへい性能に関する研究その3 放射線しゃへい性能のまとめ

摘要

実験結果により保守的に設定されたひび割れモデルを基にしゃへい解析を行い，ひび割れが発生した耐震壁のしやへい性能を評価した。以下にまとめを示す。(1)適切な構造設計をしていれば，地震によるひび割れの発生を考慮してもしゃへい性能の低下は1/10程度である(しゃへい性能の低下は，線量増加率の逆数で示される。)。(2)実際にはひび割れ面の凹凸があり，しゃへい性能の低下はさらに少なくなると考えられる。(3)60cmのコンクリートしゃへい厚であれば，地震等の外力によるひび割れの発生を考慮しても，減衰率は10~(-2)以下であり，しゃへい構造物として十分のしゃへい性能を有していると言える。(4)この結果より，敷地境界における事故時の線量が推定でき，ひび割れ復旧期間における一般公衆に与える影響等の基礎情報として活用できる。