レーザー推進におけるビーム伝送過程が熱源のプラズマ生成に及ぼす影響の調査

摘要

レーザー推進は地上から伝送されたレーザービームをエネルギー源として推力を得る宇宙輸送システムである．レーザー推進のコンセプトは1972 年にKantrowitzによって提唱された．レーザー推進はエネルギー源であるレーザービームの発振方式の違いによりパルスレーザーを利用したRP（Repetitively Pulsed）型と連続発振レーザーを利用した CW （Continuous Wave）型の2種類に分けられる．RP型は2000年代にMyraboらによって10 kW級のCO_₂レーザーを用いた打ち上げ実験が行われ，重さ50 gのLightcraftを高度71 mまで打ち上げに成功している．一方CW型は大気を推進剤とすることができ軽量化が容易なRP型に比べ，CW型は推進剤タンクが必須であり従来のレーザー出力では自重以上の推力を得ることが難しいなどの問題があった．従って CW型は打ち上げではなく軌道遷移などの宇宙空間での使用が検討されている．しかしながら近年高出力化が著しい半導体レーザーとそれを励起光としたファイバーレーザーの登場により，100 Kw級の光源が市販されるに至っている．ファイバーレーザーはその特性上アレイ化が容易なことから，MW 以上の高出力化が既に可能であり，将来的にGW級への高出力化が視野に入る．そこで我々はCW型レーザー推進機による100 g級ペイロードの打上を目標として数Kw級レーザーを用いた予備試験を行っている．