（招待講演）聴こえづらい人も過ごしやすい音環境に向けて

摘要

近年，social model of disability という概念が提唱されている。障害は社会に存在する障壁によって生まれるものである，という考え方である。多様な身体特性を持つ人間たちに対して社会が十分な支援や機能を提供できていないという批判的思考がそこにある。これに対立する概念が，medical model ofdisability である。身体機能の損失によって人々は障害を抱えるのだ，という考え方である。身体機能に損失があるならば，身体機能を補償あるいは強化し，あるいは何らかの「治療」をすることによって，障害を解消していこうという立場になる。