パラメトリックスピーカにおける復調過程の逐次シミュレーションによる復調音の可視化

摘要

近年，超指向性を有するパラメトリックスピーカ(Parametric array loudspeaker: PAL) の復調音の可視化が注目されている[1]．音の可視化により，スピーカ設置前にPAL が形成する音場や最適受聴エリアを決定することができるため、PAL の設置時間の短縮やPAL の最適設置位置を決定できる[1]．PAL はキャリア波である超音波を目的とする音響信号で変調した振幅変調波を大音圧で放射する．放射された振幅変調波に含まれるキャリア波と側帯波の差音が空気の非線形性により自己復調する[2]．この復調過程の際，復調音は実体のない点音源である仮想音源を連続的に生成しながら伝搬される．これらの仮想音源の干渉の影響により，復調音の音圧は，PAL からの距離が離れるにつれて徐々に大きくなり，一定の距離で最大音圧となった後，徐々に距離減衰する．また，PAL は密接に配置された複数の超音波素子で構成されている．そのため，放射された振幅変調波は波面合成により，同相化される．以上より，PAL は極めて鋭い指向性をもつ．