ラマン・自家蛍光分光計測を用いた茶葉に与える抹茶製法の影響解析

摘要

抹茶は日本の伝統的飲料の一種である．近年では飲料や伝統文化としての価値のみならず，調味料としての利用や，抹茶を構成する成分の健康への効果などで広く注目を集めている．抹茶の茶葉栽培は，ある一定期間，茶畑に日光を遮光する覆いをかけて育てる製法が用いられる．伝統的な抹茶栽培では、よしずとわらを折り重ねて作られたほhずで茶畑を覆い，日光を適度に遮光し，高品質な茶葉を栽培する．しかし，ほhず製法は非常に手間がかかり，コストと面積当たりの収穫量の少なさから，貴重で高価である．そのため，現在では，ほhずの太陽光透過特性を模倣した人工的な覆いである「寒冷紗」が一般的に用いられているが、茶葉の特性が大きく異なっていることが知られている．我々は、マルチモーダル分光測定によって，両者の栽培方法の違いを見出した。特に、ラマン分光、自家蛍光分光測定で違いが顕著に表れていた．