ＣＶＤグラフェン透明電極における表面の特性と電気化学発光特性の相関

摘要

電気化学発光 (ECL) は病院での臨床検査に使用され、高感度な手法として知られる。我々は高い導電性と光透過性を持つグラフェン (T≈97.7%) を、ECL 測定の透明電極として用いることで検査装置の小型化及び簡便な分析システムの構築を目指している。これまで、発光物質Ru(bpy)_3C_(l2)と共反応物質トリプロピルアミン (TPrA) を含む電解液において、電極の内部抵抗が高いにも関わらず単層グラフェンが多層グラフェンより高いECL 強度を示すことを報告した。一方で、電極表面が疎水性であるほどTPrA 酸化の反応速度が速く、 ECL 強度が増加することが報告されている。そこで本研究では単層及び多層グラフェンのECL 特性の差の由来を明らかにするためにグラフェン電極の濡れ性を調べ、電極の特性とECL 強度との相関を調べることを目的とした。