メリライト型Ybドープ酸化物の分光学的性質と結晶育成

摘要

超短パルスレーザーは精密微細加工，医療，計測等へ応用されており，さらなる高強度化による応用分野の拡大が期待されている．現行材料であるTi:Al_2O_3は蛍光寿命が約3sと短いため，高強度化の限界が見え始めている．これに対して，Yb3+を活性イオンとした固体レーザーは，蛍光寿命がmsのオーダーであるため，次世代の高強度パルスレーザーとして期待されており，様々なホストへの添加が試みられてきた．メリライト型構造を有するABC_3O_7（A=Ca, Sr；B=Y, Gd, La；C=Al, Ga）は，A~（2+）とB~（3+）が結晶内で同一のサイトにランダムに分布することが知られており， Yb3+をドープした場合，その配位環境が多様化し，超短パルスレーザー用媒質として必須であるブロードな発光帯を示すことが期待できる．本研究では，様々な元素の組み合わせでメリライト型Yb:ABC_3O_7を合成し，その基本的な分光学的性質を明らかにするとともに，浮遊帯溶融（FZ）法による結晶育成を試み，超短パルスレーザー用媒質としての実用性を検討した．