医療費を考慮した経済的な住宅断熱性能に関する研究: その１ 住宅内温熱環境と医療費との関係の推定

摘要

住宅の断熱性能を高めることにより様々な疾患が生じにくくなることが、伊香賀1)や岩前2)の研究によって示されている。岩前2)は約２万４千人を対象とした転居前後の健康変化に関する調査を行い、転居後の断熱グレード別に各種疾患の改善率を示している。本研究では、各種疾患は住宅内温度の影響を受けていると想定し、岩前の調査結果を基にそれぞれの断熱グレードに対応する住宅内温度を推定し、住宅内温度と各種疾患の有訴割合との関係を推定する。さらに、有訴割合を医療費に換算し、住宅内温度と医療費との関係を推定する。なお、有訴割合や医療費は年齢によって異なると考えられるため、20 歳毎の年代別に推定する。