商業施設の通路空間におけるシークエンス評価に関する研究その2 注視傾向と評価との関係

摘要

本研究では、視覚情報の刺激が期待感を与え、空間にリズムを作り出すと仮説を立て、その要素と構成を明らかにすることを目的とした。実験⑴により、空間構造や設えと期待感との間に関連が見られた。特に空間に広がりが見られる場所、奥まで視線が抜けるような場所では期待感が高まる傾向がある。実験⑵により、経路によって注視箇所の割合が異なることが分かった。設えの変化と視認頻度の可視化によって、先が見渡せる構成が期待感、視認頻度を減少させることが明らかになった。また、ショーウィンドウなどの設えは他の場所に比べて視認されやすく、視認頻度と期待感に関連が見られる回答が得られたことから、これらの存在は単調な経路においてリズムを与える要素である可能性が示唆された。