駐留軍用地跡地開発による湧水及び地下水への影響: 沖耦県宜野湾市西普天間住宅地区を対象として

摘要

平成8年12月のSACO最終報告により普天間飛行場を含む11の施設•区域が全部または一部、返還合意された。そのうち平成27年に返還された西普天間住宅地区(約51ha)では跡地利用が計画されるとともに、環境アセスメントによる環境保全への取り組みが進められている。「湧水保全•復活ガイドライン」によると、全国的な都市化により地下水位の低下や湧水の枯渴といった問題が指摘されており、沖網県の軍用地跡地開発も例外ではない。榮野川ら（2016)は普天間流域下(A-E流域)で開発による湧水量減少が同一流域下の産業利用に与える影響を明らかにしている。しかし、西普天間住宅地区を含むE流域については、湧水が基地内に多くあるため測定が不十分であり水収支モデルの妥当性が検討できていない。また、同地区へ移転が決まっている琉球大学医学部附属病院についても災害時に備えた地下水利用が計画されていることからも周辺水環境への開発影響は十分に検討する必要がある。よつて本研究では、地下水を含むE流域の年間水収支を解明し、西普天間住宅地区及び普天間飛行場の流域単位での大規模開発による湧水及び地下水への影響を検証していくことを目的とする。