地下空間における湿害の対策に関する研究: 壁体の吸放湿を考慮した解析モデルによる検討

摘要

無人のRC 造半地下空間を対象として、地盤の熱容量、壁体の吸放湿を考慮した解析モデルにより、地下外壁の内断湿及び冬期の換気促進がその室での夏型・冬型の結露、壁体のカビ生育に及ぼす影響を検討した。地下外壁の室内側表面の断湿によって、冬期の室空気の湿度は低下し、冬期の窓面結露量は減少し、夏期の内装材のカビ指数が下がる。冬期の壁の含水率の低下が夏期の吸湿量を増加させており、夏型結露は対策前より悪化することはない。この対策は、地盤と接する壁・床の割合がより小さい場合や、間仕切り壁がコンクリート壁でない場合にも適用可能である。一方、12 月から2 月までの換気回数を0.15（回/h）から1.0（回/h）にすることによって、その期間の窓面結露が生じなくなり、夏期の内装材のカビ指数が低下する。換気回数1.0（回/h）の条件では、冬期の壁温の低下が夏期の壁温に及ぼす影響が十分小さく、夏型結露が対策前と比べて悪化しない。