柔軟エアロシェルによる大気圏突入システムの 実用化にむけた技術課題

摘要

国際宇宙ステーションの定常的な運用、火星での大型ローバによる生命探査、民間企業による宇宙往復輸送への挑戦、大学等による多数の超小型衛星の打ち上げなど、宇宙活動が多様化する中、将来にむけて、さらに自在な宇宙活動を実現していくためには、宇宙と地球や惑星表面を結ぶ唯一の方法である大気圏突入システムの革新が重要な要素となってきている。そこで、我々は、新しい大気圏突入システムとして、展開型の柔軟エアロシェルを提案し、その実用化にむけた研究活動を進めている。これは、大気圏突入機が、必要なとき、つまり大気圏に突入する直前に、柔軟で軽量大型のエアロシェルを展開し、機体の弾道係数を下げることにより、空気力を効率よく利用できることが特徴である。この技術を用いることにより、大気密度の薄い高高度での減速が可能になり、大気圏突入機の最も重要な技術課題である空力加熱を緩和できることや終端速度を下げることにより、軟着陸のためのパラシュートシステムなどを削減できることが主なメリットである。