宇宙機の能動帯電を用いた軌道制御手法の推力特性の評価

摘要

宇宙機が宇宙空間を飛行している時, 背景プラズマのイオン・電子の影響によって, 宇宙機はほぼ必ず電荷を帯びてしまうことが知られている. このような帯電現象は, 特に宇宙機表面上で局所的に高電位帯電が起こった場合に放電を引き起こす一因となるため, 通常の宇宙機は可能な限り一様に帯電するように設計される. 近年, この宇宙機の一様帯電を積極的に宇宙機の軌道制御や姿勢制御に利用するという手法の検討が行われている. 電子エミッタやイオンエミッタを用いることを想定しているため推進装置が小型であること,ほぼ推進剤が不要となることから長寿命化が期待できる. しかし, 帯電を用いた衛星軌道・姿勢制御手法の検討はあくまで力学の観点から行われており, 推力特性の評価を行うためには, 背景プラズマの影響まで考慮した正確な宇宙機能動帯電のモデルが必要である.