シミュレーションモデルによる従来交通機関の車椅子対応の限界とバリアフリー交通システムの有効性検証

摘要

公共交通機関である電車やバスは我々にとって身近な存在であり、特に都市圏においては欠かせない生活インフラの１つである。しかしながら、身体に障害を持つ人や妊婦など多様な背景を持つ人々に対しては、従来の公共交通機関は必ずしも快適な手段とは言えない。本研究の目的は、車椅子使用者の電車利用に焦点を当て、従来の公共交通機関の車椅子対応の限界を示すこと、そして、この問題を解決するためのバリアフリーな新しい交通システムのプロトタイプを提案することである。この交通システムは動く歩道を複数使用したシステムである。提案する交通システムの有効性はマルチエージェントシミュレーションを用いた実験で検証した。検証の結果、提案システムは従来の電車である山手線と比べ、およそ10 km の移動で16 分の時間短縮が可能であると明らかになった。