復興資材と粘土・シルト系土質材料の放射線遮蔽性能の比較

摘要

2011 年の福島第一原子力発電所事故により、放射性廃棄物が発生した。現在、表面線量率が1～30 mSv/hのものは、図1に示す覆土式一時保管施設で保管されている。この保管方法では、放射線遮蔽を目的として、遮水シート上部に厚さ1 m以上の覆土を行うことを規定している1)。しかし、覆土の厚さに関しては1 m以上という規定のみで、土の種類や密度等は明記されていない。そのため、放射線遮蔽用の覆土として放射線遮蔽性能等を定量的に評価する必要があると考えられる。一方で、覆土式一時保管施設の建設には大量の土が必要になる。この建設に外部から新たに持ってきた土を大量に使用すると、環境への負荷が大きくなってしまう。環境への影響を考えると現地発生土の使用が有効である。さらに、現地発生土だけでなく、東日本大震災の災害廃棄物等から再生された復興資材を活用することで、災害廃棄物の再利用にもつながり、環境への負荷が軽減されると期待される。また、既往の研究 2)より、土質材料の放射線遮蔽性能は、ガンマ線の遮蔽には湿潤密度、中性子線の遮蔽は体積含水率にそれぞれ相関があることが示唆されている。