液体急結剤を用いた乾式コンクリート吹付け実験結果とその適応性の評価

摘要

現在、日本の道路トンネルなどの大断面山岳トンネルにおける吹付けコンクリートは、安定した品質のコンクリートが施工可能とされる、粉体急結剤を用いた湿式コンクリート（以下、「湿式」という）が主流である。それに対して乾式コンクリート（以下、「乾式」という）は、湿式と比べコンクリートの品質が安定せず、粉塵も多く発生すると考えられていたため、小断面トンネルでの長距離圧送などの特殊条件下での施工がほとhどであった。しかし、液体急結剤を用いた乾式吹付けの施工の場合、初期強度の発現、粉塵量の低減が可能となり、作業環境の向上や機械の消耗軽減を含めた多くのメリットがあることがわかってきた。さらに、山岳トンネルにおいて、そのメリットを活かした乾式吹付けの適用性評価は、今後の作業効率、作業環境の向上に寄与すると考えられる。そこで本論文では大断面、大容量の吹付けを、液体急結剤を用いた乾式吹付けで施工が可能か、またその挙動を確認するための実験を行い、適用性の評価を行ったので報告する。