石混じり礫質土による物部川堤防盛土の特性に関する一考察

摘要

弾性波探査では基礎地盤上方の粘性土層が確認されていない。起振点を多くとる必要があるとも考えられる。電気探査は局所的な低比抵抗帯が把握できておりボーリング調査によるモデル設定で粘性土層を連続帯としていることの課題が挙げられる。ボーリング調査と物理探査を併用することで検討断面モデルの精度が向上されると考えられる。現場透水試験は透水係数がかなり大きな値であるためJGS1316 による方法は適用できないことがわかった。代替としてポンプによる水量計を用いた現場透水試験を提案したが，最大粒径を考えると対象とした試験孔は小さいと考えられ精緻な値を得るためにはさらなる開発が必要である。現場密度は盛土上部で15kN/m~3，盛土下部で20kN/m~3 となった上部では砂置換法も実施し14kN/m~3 の結果となった。場所による違いが大きく石分の含有による影響と推察できる。全量粒度試験は実施していないが，スケッチによる石分の面積比率によれば盛土上部で11.5%～17.7%，下部で42.7%～45.3%となっており下部は基礎地盤と同様な粒度特性と考えられ，昭和20 年代に築堤を実施した際の材料が当時の河床から採取した材料をそのまま活用していたことが推察される。