泥岩の含水比変化が強度劣化に与える影響

摘要

山岳トンネルでは，地質によっては，トンネル完成後の盤ぶくれが問題となることがある．文献1)では，盤ぶくれしたトンネルはスレーキング指数が高いこと，切羽観察記録の湧水量の項目が，「なし，滲水程度」の割合が94%であり，掘削時の湧水が少なくても完成後に盤ぶくれした事例は多くあることが示されている．そこで，地質によってはインバート掘削後の露出に伴う乾燥が，その後のインバート部地山の強度低下および盤ぶくれに影響する可能性について検討することを目的に，含水比を変化させた一軸圧縮試験およびスレーキング試験を実施した．試験は，スメクタイトを含有する新第三紀泥岩地山を掘削する山岳トンネルの2地点（A，B地点）の切羽の岩石で実施した．なお，A地点とB地点は約3.5km離れている．