地上・地下統合浸水モデルを用いたみなべ町における下水道の津波浸水解析

摘要

和歌山県は，南海トラフ巨大地震に伴う津波による浸水を想定しており，みなべ町では最大津波高14 m，平均津波高12 m，想定浸水区域450 ha，平均浸水深3.9 mが想定されている．本研究の目的は，南海トラフ巨大地震津波による下水道施設の被害の可能性およびみなべ浄化センターの対策を検討することである．InfoWorks ICMを用いて地表面と下水道管渠網のモデル化を行い，津波浸水解析を行った．その結果，取付管からの浸水により，汚水管渠網への浸水が拡がっていくとともに，広範囲の管渠が満管状態になって，人孔内の水位も上昇する様子が確認できた．みなべ浄化センターは，地震発生から2時間40分後に満水になった．浄化センターの復旧対策として，排水ポンプ車を用いた排水所要時間について検討すると，排水ポンプ車の稼働時間は約18時間で，停止時間も含めた排水終了までにかかる所要時間は26時間強という結果が得られ，下水道の使用制限が可能な日数は4日と考えられているため，排水ポンプ車は設置時間を含めて少なくとも，地震発生から68時間以内に排水作業を開始する必要があることがわかった．