小型実証衛星1 号機搭載宇宙環境計測装置の開発完了報告

摘要

太陽フレア発生時や南大西洋磁気異常帯（SAA）通過時といった高計数率環境下では、放射線計測装置に対して先に入射した粒子に起因するパルス波形に、その直後に発生したイベントによる波形が積み重なる現象（以下パイルアップと呼ぶ）が生じる場合がある。この場合、本来の波高値よりも高い波高値を示す一つの波形として波高分析器で処理される。つまり、パイルアップが発生すると粒子エネルギーを誤検知してしまい、間違ったエネルギー情報が得られる場合があり、課題となっている。図１はパイルアップの事象例を示す。一つの例（パイルアップは、連続して放射線が入射し、装置内で波形が重なり過大なエネルギーを検知する場合であり、二つ目の例（パイルアップは波形がアンダーシュートしている間に放射線が入射し過小なエネルギーを検知する場合である。