ポーラス金属の構造モデル作成と衝撃解析

摘要

内部に多数の空隙を有するポーラス材料は様々な特性を持ち，広く利用されている．特にポーラス金属は塑性変形時に一定の応力を保ちながら大きなひずみを生じるため，衝撃エネルギーを吸収する特性に優れており，衝撃吸収材としての活用が期待されている．しかし，ポーラス金属を用いた実験では試験片内部に存在するセルの大きさ，セル同士の位置関係や分布に個体差があり，個々の試験片は厳密には同一の物とはならず，結果として実験結果にばらつきが生じる．また，通常の完全緻密体材料とは異なり内部構造が複雑であることから，不均一な変形を示すことが知られており1)，衝撃エネルギー吸収特性の評価や変形挙動の予測を立てることに課題がある．さらに，実験では変形時の内部状態を観察，計測することができず，内部でどのような現象が生じ，それが変形に対しておよぼす影響を明らかにすることができない．そこでポーラス金属の評価をおこなう上で数値解析を用いることが必要となる．