多量湧水下でのトンネル掘削における切羽安定化対策

摘要

北海道新幹線，新函館北斗～札幌間（線路延長約211km）の渡島トンネルは新函館北斗駅からおよそ1km北西に位置し，トンネル延長は32,675mに及び，完成すると国内最長の陸上山岳トンネルとなる．本トンネルの最も起点方に位置する村山工区（トンネル延長5,365m）では，事前の調査の段階から地下水位が全線にわたってトンネル天端より上部にあることがわかっており，施工時に多量の湧水の発生が想定され，切羽の不安定化および突発的な湧水の発生が懸念されていた．そのため，切羽前方への中尺ボーリングと短尺ボーリングを併用し，ボーリング孔からの湧水圧管理を実施することで，切羽前方の地下水位の低下を図り，切羽の安定化に努めた．本稿では，これらの多量な湧水区間での切羽安定化対策および現在までの施工状況について報告する．