依頼講演微弱光エネルギーを利用する集積回路システムの構築

摘要

低電圧出力の環境発電デバイスのための昇圧コンバータを検討した.1cm~2オーダの小型光発電デバイスは出力電圧が低く,集積回路の直接駆動が難しい.このため,小型発電デバイスの電圧を昇圧コンバータによって適切な電圧に変換することが求められる.小型集積可能な昇圧コンバータとして,チャージポンプを用いた回路が提案されている.しかし,従来のチャージポンプは低電圧動作に対する検討が十分に行われておらず,負荷電流範囲が狭かった.また,制御回路が大きな電力を消费するため,出力電力の小さい発電デバイスに適していなかった.提案チャージポンプはドライバ回路を用いることでチャージポンプの負荷電流範囲を改善する.また,出力端子の電流を消费しない電圧センシングと,ナノアンペア電流で動作する参照電流源を利用した超低電力な最大電力点追従制御回路を搭載し,回路の出力電力を最大化することで発電電力を有効に利用する.提案する昇圧コンバータをチップ試作し,測定評価を行った.提案回路は0.21Vの低電圧で起動した.出力電力が348μWのとき,0.49Vの入力電圧を最大で73.6%の効率で1.46 Vの電圧に昇圧した.