ドロ一ンはフィールドサイエンスに何をもたらすのか -琵琶湖の内湖調査の事例-

摘要

環境分野におけるドローンの利用は人工衛星の代替 として画像撮影に利用される場合が多い。その理由とし て、ドローンは飛行高度が低いため、雲の影響を受けに くく、雨の日を除けば比較的自由に撮影する事があげら れる。これにより調査が非常に困難であった植物の空間 分布をドローンにより効率的に把握でき、植物生態学等 の分野で頻繁に利用されるようになった。 ドローンの活用は画像撮影だけでなく、その機動性を 活かして採水にも利用する事が可能である。例えば火山 性湖沼のような危険な場所や、道が整備されておらず近 づくのが困難な場所に対して、空からアプローチする事 で未踏の領域の貴重な水試料が入手可能となる。加え て、ボートによる採水は水塊を攪乱しやすいし、立ちこみ による採水は底泥を巻き上げるなど問題も多く、理想的 にはできるだけ非攪乱で採水することが望ましい。これら の利点からドローンを使った採水は、これまで入手が困 難であった水試料を理想に近い状態で採水する事を可 能とする。