活性汚泥法の過曝気条件における長期低pH環境下の原生·後生動物の群集構造と質的量的特性

摘要

水圏のpHは微生物を問わず広く多様な生物に対して 大きな影響を及ぼす。そのため、極限環境等を対象にし た微生物群集調査が度々行われてきた。しかしながら、 屋外調査では長期的かつ連続的な調査は極めて困難で ある。そこで三角フラスコ等を用いたバッチ試験よつてpH と微生物の関係は検討されてきたが、この方法でも培養 中にpHが変化し易く、pHと微生物の関係は不明な点が 多かった。更に、群集内における微生物活性が単種培 養の場合と異なることもある。当研究グループでは長年、 排水処理においてAOSD (Automatic Oxygen Supply Device)システムによる微生物の必要とする酸素供給自 動制御に関する技術開発を行ってきた。この開発で、嫌 気好気を導入しない非自動制御の活性汚泥系におい て、活性汚泥中のpHが4付近を長期的に維持する現 象が確認された。そのような状態にもかかわらず、これま で低pH環境では増殖困難と言われていたVorticella sp. のような縁毛類等も観察された。上記の実験から、群集 構造内の微生物活性とpHの関係から質的量的特性に 関する重要な知見が得られた。