二方向に復元力を発揮するTiNi形状記憶合金の開発と応用

摘要

形状記憶合金（shape memory alloy,以下SMA)は大きく変形させても除荷のみで元の形状に戻る超弾性や，加熱で形状回復する形状記憶効果を示す材料として知られている.このような形状記憶特性はマルテンサイト（martensite,以下M)変態およびその逆変態に基づいて現れる.いくつかの合金系でこのような形状記憶特性が現れるが，Ti-Ni系のSMA(以下TiNi SMA)は特に復元力や回復ひずみが大きく，疲労寿命が長いことから，各種ァクチユエータゃ医療デバイス等に広く利用されている.著者らはこれまでに，TiNi SMA薄帯板のねじり変形を利用したシンプルで小型な回転ァクチユエータを提案してきている.本講演ではまず，常温で超弾性を示すTiNi SMA (以下SEA)の薄帯板をバイアス素子とした回転ァクチユエータを設計•製作してモデルの繰返し動作検証を行った結果を述べる.これに加え，材料自身が加熱•冷却で二方向にねじりの復元力を発揮する二方向形状記憶効果（two-way shape memory effect,以下TWSME)を発現させるための方法を新規に見出したので，その詳細を示す.さらにTWSMEを利用したバイアス素子不要の回転ァクチユエータを作製して動作検証を行った結果を述べる.