発電排熱による下水汚泥の熱処理が汚泥処理システムのエネルギー収支に与える影響

摘要

下水汚泥の熱処理は嫌気性消化の前処理としてバイオガス生成量の増加に効果的である。特にバイオガスを利用したコジェネレーションシステムにおいては，発電排熱を熱処理のエネルギー源として利用することによって下水汚泥処理システムにおける効率的なエネルギー利用が図れると考えられる。筆者らはこれまでに初沈汚泥と余剰汚泥への熱処理によるガス生成ポテンシャルへの影響およ電排熱を利用した余剰汚泥への熱処理によって汚泥処理システムのエネルギー収支の効率化が可能であることを明らかにした。しかしこのシステムでは余剰となる発電排熱があり，これを消化汚泥の熱処理のエネルギー源とすることでさらなる汚泥処理システムの効率化が可能であると考えられる。そこで本研究では下水汚泥の熱処理が汚泥処理システムのェネルギー収支に与える影響を明らかにすることを目的とし，初沈汚泥，余剰汚泥，消化汚泥への熱処理の効果とガス生成ポテンシャルへの影響について検討を行った。