酸素の存在が亜酸化窒素の還元活性に及ぼす影響：単離菌株による呼吸活性の動力学的評価

摘要

亜酸化窒素(N_20)は土壌や排水処理施設から排出さ れる温室効果ガスならびにオゾン層破壊物質であり、 その削減が求められている。この観点から、N_20をN_2 に還元できる細菌(N_20還元細菌)を用いたN_20排出抑 制の技術開発が期待されている。N_20還元細菌はN_20 還元酵素の塩基配列の違いからclade I， clade IIという2 つのタイプに分類されるが、生理学的特性はclade I type の細菌に偏っている。また、N_20還元は0_2存在下に て失活するが、阻害の程度は細菌種で異なる可能性が ある。そこで本研究は、clade I，clade II両タイプのN_20 還元細菌を用いて、N_20還元活性を動力学的観点から 比較評価した。さらに、0_2への暴露がそれぞれの細菌 のN_20還元活性に及ぼす影響を調査し、排水処理施設 の嫌気槽で起こりうる0_2の混入がN_20排出にどう影 響するかを考察した。