直接注入-LC-MS/MS法によるゴルフ場排水中農薬の多成分同時分析の検討

摘要

ゴルフ場からの排水に含まれる農薬の濃度については、環境省水•大気環境局長通知の指導指針により、水濁指針値及び水産指針値を超えないこととされている（なお大阪府では、上水道水源に位置するゴルフ場からの排水について、水濁指針値の1/10を超えないことが求められている)。指針値が設定されている農薬は水濁指針値314種、水産指針値407種(H30.11.15時点、重複あり）であり、多くの農薬について分析体制を整備する必要がある。指導指針にはゴルフ場で広く使用されている農薬について多成分同時分析法が提示されているが、一度の操作で同時分析が可能な農薬は最大で50種ほどであり、いずれも固相抽出等の濃縮操作を必要とする。一方で近年の分析機器の感度は上がっており、また水道水中農薬の検査方法として濃縮操作をせずにろ過のみを行った検体を直接LC-MS/MSに導入することにより測定する方法が提示されている。そこで今回、ゴルフ場排水に含まれる多成分農薬を濃縮操作なしに簡便な前処理のみでLC-MS/MSに注入することにより分析する方法を検討したので報告する。