非定常状態における水中用パッシブサンプラーの適用の検証

摘要

Polar organic chemical integrative sampler(POCIS)は、一定期間の平均濃度を測定できる水中用パッシブサンプラーであり、semipermeable membrane device (SPMD)やChemcatcherなどとともに広く利用されている。水環境中の対象物質濃度は、室内実験によって求められたサンプリングレート（Rs; Ld~(-1))、採取期間(d)、捕集量(μg)によって計算される。これらの手法で推定された値と実測値との比較例は多く報告され、概ね一致した結果が得られている。POCISを始めとするパッシブサンプラーは、瞬時値ではなく曝露量を評価できるという特徴を持つことから、一定期間での水環境モニタリングや、有害物質が水生生物へ与える影響の評価へ応用されることが期待される。しかし、災害や突発的な化学物質漏洩等による非定常状態時におけるPOCISによるサンプリングの適用については、検討例がない。そこで本研究では、Rsが既知の化合物6種（-0.549 くlogP_(ow( <1.26)をモデル物質とし、非定常状態におけるPOCISの適用性を検証した。