多環芳香族炭化水素類と変異原性から見た燃焼粒子状物質の特徴

摘要

有機物の不完全燃焼に伴って，多くの種類の多環芳香族炭化水素（Polycyclic AromaticHydrocarbon, PAH）やニトロ多環芳香族炭化水素（Nitropolycyclic Aromatic Hydrocarbon, NPAH）が生成する。この中にはベンゾ[a]ピレン（Benzo[a]pyrene，BaP）に代表される発がh性を有するものがあり，その多くは微小粒子状物質（直径が2.5μm 以下の微細粒子，PM_(2.5)）に含まれて大気中を浮遊している。世界保健機構（World Health Organization，WHO）は2013 年にPM_(2.5) の発がh性を指摘し，世界で数百万人がPM_(2.5) を含む大気汚染によって健康被害を受けていると警告している。その対策は人類に課せられた最重要課題の一つになっている。