微細粒ステンレス鋼の変形•変態集合組織解析

摘要

近年，情報などに代表される小型デバイスの発展に伴い精密加工の需要が増加し，サブマイク口メ一トル，またナノメ一 トルオーダーでの加工精度が要求されている.そのような精密加工では材料の結晶粒径や異方性が大きく影響するため，精密加工性を向上させる微細粒材料の開発が盛hに行われている.また，材料の微細粒化は精密加工性を向上させるだけではなく，材料の強度も向上させる.材料の降伏応力は結晶粒径の-1/2乗と線形関係にあることがHall-Petch則で経験的に知られている.しか し延性はトレードオフの関係により低下してしまう.よつて高強度-高延性な次世代微細粒材料の開発のために，結晶粒微細化による延性の低下を抑制することが廳となっている.辻らによれば，母相より硬い相との複合相を形成することにより，結晶粒微 細化による延性の低下を抑制できると報告されている.そこで変形を加えるとオーステナイト相（以下γ相）から硬いマルテンサイト相（以下a'相）に一部変態するTRIP鋼を微細粒化することにより，延性の低下を抑制した高強度材料になると期待される.よつて微細粒TRIP鋼である微細粒SUS304の機械的性質を調査した.また延性の低下を抑制するカギとなるマルテンサイト変態に及ぼす結晶粒微細化の影響を明らかにするために，結晶粒径の異なる微細粒TRIP鋼を変形させ，SEM/EBSD測定をし集合紙熾や相分率の変化を調査した.