PV導入拡大に対するAIを活用した系統制御方式の検討: 系統安定性の維持と電圧調整機器保守コストの低減への新たな挑戦

摘要

本稿では，今後のPV導入拡大に伴い長野方面の長距離大電力送電系統において生じる新たな系統問題に対して，「AIを活用した電圧制御方式」を導入することで，系統安定性を維持した上で，電圧調整機器の動作回数を低減できることを報告した。電圧調整機器の動作回数の低減は，その損耗を抑制し，点検·交換などの保守コストを低滅できる。なお，本方式の電圧調整機器保守コストの低減効果を試算した結果，年数億円の低減が可能であることを確認している。今後も，不確実性を増すエネルギー産業において，高度な解析技術者の知恵や考え方を反映したAIを活用した次世代グリッドの実現に挑戦していく予定である。