配電線電圧調整のための需要家群協調制御手法: 高圧配電系統を対象とした 計算機シミュレーションによる検討

摘要

近年，我が国では太陽光発電（以下，PV),風力発電といつた再生可能エネルギーを由来とした分散電源の大量導入が進められている.この背景には，2012年7月に施行された「電気事業法による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が挙げられる。分散電源が大量に連系された長亘長の配電線では，逆潮流時に配電線末端側の電圧が上昇し，電気事業法に定められる上限値を逸脱する懸念があることから，我が国ではPV用PCS(Power Conditioning Subsystem)の無効電力による電圧調整手法の一つとして，力率一定制御手法が採用されている.一方で，将来的にPV導入量の更なる増加と固定価格買取制度終了に伴う，需要家の発電電力の自家消費化が進むと，この力率一定制御手法により，二次系統や配電系統の無効電力が過剰となり，過度な電圧低下が発生する可能性が指摘されている.そのため，必要以上に無効電力を供給しない電圧制御手法の開発が必要である.