RoboCupサッカーにおける敵を考慮した評価関数の設計

摘要

ロボット工学と人工知能の領域横断型研究プロジェクト としてRoboCupが知られている.RoboCupにはサッカーやレスキューなど様々なリーグが存在しており，それぞれにおいて活発な研究，開発が行われている.Floydらは事例ベース推論を用いてサッカーエージェントの行動を模倣する手法を提案した.また，Hausknechtらは，サッカーエージェントの行動をDeep Neural Networkの強化学習によって獲得した.これらの研究は，個々のサッカーエージェントのみに着目し，その性能向上を目的としており，チーム全体の性能を向上することを目的としていない.本論文では，チーム全体の行動を模倣することで，そのチームの戦術的な攻撃をエージェントに獲得させることを目的とする.現在，RoboCupサッカーシミュレーション2Dリーグでは，フィールドの片側に選手を固め攻撃する戦術や守備を偏重する戦術など，チームによって様々な戦術が用いられている.戦術間には相性があるため，1つの戦術で全てのチームに勝つことは困難である.そのため，確実な勝利のためには，複数の戦術を用意しておく必要がある.