ローコスト地震計による地震・傾斜観測システムの開発

摘要

大地震による被害を軽減するには、各地の地震動を正確かつ即時的に把握することが必要である。現在の高密度地震観測網の代表的なものとして、気象庁が設置している地震計や防災科学技術研究所が設置している強震観測網（K-NET，KiK-net）、消防庁が整備している震度情報ネットワークなどがある。しかし、これらの地震観測網は狭い範囲で地震動は大きく異なるケースも存在するため、地域内の詳細な地震動を把握することは困難である。したがって、地域内の詳細な地震動を正確に把握するためには、実際に観測することが不可欠であり、それを実現するには、超高密度な地震観測網が必要である。そこで従来型の地震計よりも大幅にコストを削減したローコスト地震計を用いて地震観測システムの構築を行い、自然地震観測を実施することで、その適用性について検討した。また、斜面地域での利用も視野に入れて、斜面監視のために傾斜計として活用することも検討した。