類似性に基づく視線データの分析

摘要

より良いコンテンツの提供を目的として視線データによるューザー分析が増加傾向にある.視線検出器の低コスト化やカメラ画像の解析による視線検知といった技術の進歩によって，視線データの収集が一般的なものとなってきている.通常視線データの分析には，注視点の密度を示したヒートマップや視線移動の順番を示したGazeプロットなどを用いた可視化手法が使われることが多い.しかし，これらは可視化されたデータを実際に見て分析することから，データが大量にある場合，分析には多大なコストがかかってしまう.そこで，本研究では視線データを類似度に基づいて自動的に分類する手法を開発することを目的とする.類似度の算出には，視線データから生成したヒートマップ画像に対して正規圧縮距離を用いて算出する.本研究では，集中時，非集中時のヒートマップに類似性があることから，この手法を拡張して，文書読解の集中時，非集中時の分類に適用できるようにする.この手法の特徴としては，自動的に分類が行えることで大量のデータを短期間に多く分析できる点と可視化したヒートマップを用いるので人が理解しやすいといった点がある.本論文では，文書読解で集中しているとき，集中していないときの視線データを類似性によって分類を行い，実験結果について報告する.