人体解剖モデルを用いた6 GHz超のダイポールアンテナによる眼球の温度上昇に関する検討

摘要

スマートフォンやタブレツト端末の普及に伴い，これらの端末を目の前においてデータ通信に利用する機会が増加している.また，次世代通信システムである第5世代移動通信システムにおいては，これまでの通信システムより高い周波数帯が用いられる予定であり，新たな周波数帯の電波ばく露による眼球への影響に関心が高まってきている.しかしながら，人体の眼球近傍に6 GHz以上の周波数帯のアンテナを設置した際のばく露評価に関する報告は少ない.そこで，本報告では，人体の解剖学的構造を有した数値モデルを用いて，6 GHz以上の半波長ダイポールアンテナを眼球近傍に設置した際の電波ばく露に起因した眼球内の温度上昇を推定した，その結果，鼻による反射波が角膜の温度上昇に与える影響評価では，鼻がない場合の方が鼻がある場合に対して，最大20.5%温度上昇が低くなることを確認した.また，角膜の最大温度上昇は，周波数やアンテナの位置?方向の違いにより，最大82.5%の差異が生じることが分かった.