取り組むたびに異なるパラメータで提供される電気回路のE-learningシステム

摘要

著者らは，これまでに電気回路の内容を理解させるために，学習者の理解に応じて演習問題を作問できるE-learningシステムの構築(1)-(3)や，解答の導出過程を答えさせるE-learningシステム(4)の提案を行ってきた。それらのE-learningには，考えさせる要素が多いので，意欲的な学生にとっては効果的だったものの，意識の低い学生にとっては，あまり効果がなかった。それらの取り組みによって，学習者自身に電気回路の演習問題について様々に考えさせることは，基礎知識が十分に身についていない学生にとっては難しく，むしろ一つの型にのっとって問題の解き方をしつかりと身につけさせることの方が必要であり，学生にも取り組みやすいことがわかった。したがって，一定のパターンの問題について，解法を反復訓練によって身につけさせるためのE-learningシステムを提供することの方が必要であると考えられる。そこで，本研究では，取り組むたびに問題中の回路の素子などのパラメータが変化するE-learningシステムを構築する。このE-learningシステムは，サイパネットシステム社から販売されているSTEM授業向けオンライン教育支援パッケージ「MapleCLASS」を用いて作成した。学習範囲は，二端子対回路，過渡現象，ひずみ波交流である。電卓を利用することを前提として，同じ問題でも，取り組むたびに素子の値が変化するように工夫した。福岡工業大学工学部電気工学科の電気回路IVの受講者に，構築したE-learningシステムに取り組ませた結果から，その効果について検討する。また，取り組hだ学生に対してアンケート調査を行った結果について報告する。