航路長 500km 未満フェリー航路でのモーダルシフトの推進:地域経済の活性化と環境負荷の低減化を図るための物流主体の超高速化

摘要

瀬戸内海では，1988～1999年にかけて3本の本州・四国連絡橋(児島・坂出，神戸・鳴門，尾道・今治間)が相次いで完成し，以後，多くのフェリー航路が減便・廃止に追い込まれた．しかし，巨大架橋の完成によって利便性が顕著に向上した反面，渋滞の発生や高額な通行料の問題，トラック輸送への集中による輸送コスト高や環境汚染の問題が発生し，また，架橋から離れた地域では活性化が滞り地域間格差が生じているようである．従って，本四間や九四間を結ぶフェリー航路では，架橋効果を凌ぐ輸送経済性の高い物流主体の超高速化の実現が是非とも検討されるべき新たな局面を迎えていると言えよう．また，深刻化するトラックドライバーの不足による物流の低迷や輸送コスト高，環境汚染の問題等に対処するために，高速道路が整備されて車両通行量の多い中近距離区間においても，シャシーの効率的な運用やトラックの無人車航送を可能とする物流主体の新たな超高速フェリー航路の開設が是非共検討されるべきであろう．