大型クルーズ船の損傷浸水時の復原性に関する模型実験

摘要

多数の乗客乗員が搭乗する大型クルーズ船では，損傷浸水時の安全性確保が欠かせない．損傷浸水状態での復原性を確保するために，国際海事機関（IMO）の海上人命安全条約（SOLAS 条約）により区画割りなどの設計要件が厳しく規定されている．現行基準では主として最終平衡状態での復原性を担保しているが，大量の人命喪失が懸念されるのは，大規模な損傷により船内への急激な浸水が短時間に生じ，非対称浸水や自由水影響によって復原力が一時的に著しく低下することによって大きな横揺れが誘発され，破孔以外からの二次的な浸水に至る場合である．損傷時復原性の定量的評価のためには.