カーボンニュートラルの実現に向けた需要家電力資源の活用のあり方

摘要

地球環境保全と電力安定供給に向けた需要家電カ资源の活用の基本的な考え方を示す。電力システムは我々人類の持続可能な社会の基盤を構成する重要な社会インフラシステムのーつである。今，この電力システムに世界各国で地球環境保全のための再生可能エネルギーの増設，主力電源化による電源構成の劇的変化と，電力流通の柔軟化，最適化を志向した発送電分離をはじめとする電力制度の改革が同時進行している。電力システムはカーボンフリーな電力の新たな流通形態の実現を目指し，まさにパラダイムシフトの中にあると言える。欧州各国は「地球環境を維持するために残された時間は少ない。」との危機感の共有と新たな競争力の確保のため，個々の電力事情に応じて，政策，手段，実現時期などの違いはあるものの，2050年までにカーボンニユートラルの達成を目標に「気候変動法」などの法制化を進めている。この潮流のなか，2020年10月，日本政府は「温室効果ガス排出量を2050年に実質ゼロ(カーボンニュートラルと同意)とする。」との政策目標を発表した。