公共トイレにおける手洗いの質を向上するデザィン研究：指示型音刺激を含む手洗いの仕組みの検証を通して

摘要

新型コロナウイルスの流行により外出時のマスク着用、 手指や物品の定期的なアルコール消毒、トイレ利用後や食 事前の手洗いなど、個人単位で行う感染症予防対策の効果 や重要性が再認識されることとなった。石鹸による手洗い（以後「手洗い」）はウイルス性胃腸炎やウイルス性呼吸器 感染症の予防において重要な役割を果たすことが知られて おり、一方で低い手洗い率は種々の感染症の拡大につな がることが分かっている。発展途上国においてウイルス性 の胃腸炎及び呼吸器感染症は幼児の死亡原因の大半を占めており、年間350万人以上の子供が命を落としている。先 進国においても手洗いはノロウイルス、ロタウイルス、イン フルエンザなどのウイルス性感染症、また院内感染の原因 として多い黄色ブドウ球菌やディブイシル菌による感染拡 大防止に効果があることが報告されている。このよ うに手洗いはその簡易性と関連費用の低さにより、他の感 染症予防対策と比較してもコストパフォーマンスが非常に 高いとされている。