複合材補強平板の座屈後挙動に関する一考察

摘要

複合材料は従来の金属材料と比較して比強度に優れ，特に軽量化が要求される航空宇宙分野で広く活用されており，今後も適用範囲の拡大がさらに進展すると予想される.しかし，複合材料を適用した構造は，外部衝撃による強度低下などの耐損傷性に関する問題点が存在するため，安全性を考慮し必要以上に余裕を持たせた設計をせざるを得ない状況となっている.つまり，材料自体の軽量さによる軽量化アプローチであり，構造設計テクニックによる軽量化アプローチは発展途上である.従来の金属材料構造では一般的な座屈許容設計を複合材構造へ適用例は未だ少数である·理由は，複合材構造は先述した耐損傷性の問題に加えて，薄肉補強構造の場合，圧縮荷重を受けた際に座屈により外板と補強材結合部で応力集中が発生し，外板と補強材の剥がれ発生する.それが起点となり剥離進展を伴う非常に不安定な構造破壊が生じるためである.したがって，薄肉補強構造が一般的である航空機複合材構造では座屈を発生させない設計が事実上の標準となっている.