名古屋市堀川の水質に与える松重閘門水域部のヘドロと中川運河の導水の影響に関する研究

摘要

日本の都市河川は，1970年代の高度経済成長期の無秩序的な汚水流入によって水質悪化，ヘドロ堆積により，水環境も劣悪となった．その後，下水道整備やヘドロの浚渫が進み，当時に比べれば水環境は改善しているが，十分な状況とは言えない．図-1に示す名古屋市堀川では納屋橋付近にオープンカフェが並ぶなど市民に親しまれているが，水環境に関する課題も多い．堀川には河口から7.5kmに中川運河との合流域である松重閘門があり，その前には水域（松重閘門水域部）が存在する．堀川は，浮遊物が上流と松重閘門水域部を行き来し長期間堀川を浮遊する特徴を有しており，松重閘門水域部には大量のヘドロが堆積している1)2)．堀川の水環境改善を目指して，武田らは，現地観測を用いた水質変化の状況を明らかにし，数値解析により冬季の堀川のDO変化を示し，中川運河からの導水の影響が大きいことを示した3)4)．また，冨永ら5)は，松重閘門水域部の流れの観測を実施し，ワンド部特有の渦構造を明らかにしている．