業務用厨房における局所排気フードの捕集メカニズムに関する研究(その2)CFDを用いたフード捕集性能に関する検討

摘要

業務用厨房における必要換気量については、理論廃ガス量や電気容量、換気回数やフードの面風速に基づくもの等、種々の基準や指針がある。これらの基準の根拠となる局所排気フードの捕集率に関する研究も枚挙に暇がない。筆者らは、フード排気量の設計手法に関する現状調査により、フード面風速0.3m/sで設計を行っている場合が多いことを明らかにした。これは、面風速0.3m/s以上確保されることで十分に捕集が行われることを、経験的に把握しているためと推察され、研究者による種々の捕集率測定実験でも示されている。しかしながら、このフード面風速を必要換気量の基準とする物理的根拠は明確ではないため、フードの捕集メカニズムを明らかにすべきである。山中はこの問題意識に基づいて、フードの捕集現象を、捕捉と保持の現象に分けて极うことを提案した。本研究は、これらの原理を明らかにすることを最終目的として、まず保持現象に着目し、フード面風速が保持効率に与える影響を明らかにする。具体的には、ガステーブルコンロ使用時のキャノピーフードの捕集現象を対象とし、同一排気量でフード面積の大小、すなわち面風速の大小がフード捕集率に及ぼす影響をCFD解析により把握するとともに、捕集原理を明らかにするために、フード周辺の気流及び汚染物濃度解析を行う。なお、本報は既報の解析条件に修正を加えて再計算及び加筆した上で高さ方向の流量分布に関する分析を新たに行い、再構成したものである。