平成28年台風第10号による二級河川小本川での洪水流量形成における先行降雨の影響

摘要

本研究では，小本川流域を対象とし，地表流と地下水流を一体解法により強連成した物理水文モデルを用いて，平成28年台風第10号の先行降雨による地下水流の流況や圧力水頭の変化を分析した．この結果，先行降雨が浸透することにより，流域全体の圧力分布が変化し，河道直下では，流域全体からの集水と地表への湧水が増長される現象が確認された．このため，平成28年台風第10号による洪水災害は，先行降雨の影響により，洪水流量の形成が増長されていたものと考えられる．また，この圧力分布の変化は，山間河川において，急激に水位が上昇することに関係している可能性が考えられる．