中国・寧夏銀川市清真中大寺の歴史的経緯と現状について

摘要

7世紀中頃、中国に伝来したイスラームは、今も広く信仰され、ムスリム少数民族としての「回族」は、中国全土に広く分布し、その数は1千万人を超えるとされる。回族の起源は古く唐代まで遡り、宋代で「回回」と称されるようになり、元代には通商や技術、軍事をも担う社会的地位を確保した。明代では回回に対する寛容政策により、各地に多くのイスラーム礼拝所「清真寺」が建設された。清代になって一転して弾圧政策がとられ、急激に社会的な地位を失った。近代になって、中華民国政府は、再び一つの宗教集団として認め、その政策は1941年に成立した中国共産党にも引き継がれ、1949年以後、民族名として正式に「回族」とされた。しかし、1966～76年の文化大革命に際しては、宗教全般が激しく批判され弾圧されたが、イスラームもそれを免れることはなく、各地で多くの清真寺が破壊された。1978年以後、文化大革命が見直され、破壊された多くの清真寺が政府の補助金などで再建されて、宗教活動が再開された。