ラニガト遺跡におけるモールディングの形態と変遷について:ガンダーラ仏教建築におけるストゥーパの形態に関する研究

摘要

ガンダーラは古代インドの北西の端に位置し、ギリシャ・ローマ、イラン、インドの文化が融合して独特な仏教文化が花開いた土地である。そしてガンダーラ仏教寺院では仏像や建造物にギリシャ・ローマの影響がみられ、寺院の主要な構成要素であるストゥーパの基壇の装飾要素であるモールディングもそのひとつである。ガンダーラにおけるストゥーパの基壇は、基壇壁面をモールディングを設けた基壇下部と基壇上端のコーニスで区切る層もしくは装飾帯によって構成されており、時期が下ると複数の装飾帯をもつ基壇が築造されるようになる（図1,2）。